2007年05月13日

「自己責任」を問う

浜井道子

今日本国内では、政治家を初め多くの国民の間で、人質になった三人に対する批判が横行しています。またマスコミなどで双方の意見を戦わせる形で批判するなら民主主義の国として当たり前のことですが、偏った意見だけを報道するようなマスコミもありました。それに加え、非難中傷する匿名のメール、FAX、電話が家族の元や、本人のホームページに殺到したり、あたかも今回の人質事件が自作自演であったかのような今井さんが書いたとされる偽のメールまで流布されました。

自分の命を顧みず、自ら危険なところに入り、人のために働こうとする行為は、賞賛されるべきものであって、決して非難されるべきものではありません。真に非難されるべきは人質をとって自分たちの主張を通そうとした武装グループの行為であり、そうぜざるを得ない状況にイラクの人々を追い詰めてしまったアメリカの行為なのです。(日本もそれに追従しています)

危険だから行くなと言ったのに、勝手に行ったのだから自分が悪いという考えは、自分たちだけ安全なところに身をおいておけば、世界のどこでどんなことが起こっていようと関係ないというのと同じことです。その発想からはクリミア戦争で負傷兵を敵味方なく看護したナイチンゲールは非難される人となり、今も世界の紛争地帯で、危険を顧みず活動している「国境なき医師団」や「AMDA」は勝手に行ったから、何かあっても自己責任だと非難されなくてはなりません。

また実際に戦場で何が起こっているのかを、自らの身を危険にさらしながらも世界に訴え続けようというジャーナリスト精神がなければ、私達は戦場で何が起こっているかの真実を知ることはできません。今までベトナム戦争や旧ユーゴスラビアでの戦争でも、彼らの報道のお陰で私達は戦争のもたらす惨禍と権力者の行為を知ることができました。私達が広島から訴えようとしていることも、まさにそのことです。戦争の現実を直視することなく、戦争を語ることはできません。

アメリカのパウエル国務長官も「よりよい目的のために自ら危険をおかした日本人がいたことを私はうれしく思う。三人の行為を日本人は誇りに思うべきです」と述べています。またフランスのルモンド紙は「事件は、外国まで人助けに行こうという世代が日本に育っていることを世界に示した」として、「無謀で無責任」と批判されている元人質を弁護しています。

私達は自分たちにできないような彼らの勇気ある行動を誇りに思い、安全なところに身を置く者として、後方から彼らをバックアップしなければならない立場にいるのではないでしょうか?