2007年06月27日

10 イギリス編

旧日本軍の捕虜

 広島在住のスウェーデン人女性宣教師、ヨーディス・アンデルソンさんから連絡があった。「ケイコ・ホームズさんに伴われて旧日本軍の捕虜だった元イギリス兵たちが来日なさる。原爆慰霊碑前で戦死者追悼礼拝をするので司式を頼まれた」とのこと。「戦時中の日本軍が凶暴だったので、イギリスの対日感情は良くないのよ。しかし、戦争をする者は同罪だと認識してもらうチャンスだから、啓子、彼らにヒロシマを語りなさい」とおっしゃる。

 私の被爆体験記は外国人に語るために英訳してあったから応じることにした。だが、私に与えられるのは5分間だけと分かったとき、私は自分の体験を語るよりもヒロシマを伝えることが重要だと考えた。
 1998年11月2日。一行は原爆慰霊碑の前に整列された。ヨーディスさんの司式で礼拝は進行していった。彼女の紹介で私は彼らの前に立った。簡単な自己紹介をした後に、市川和子英訳のヒロシマを語る詩・水野潤一「しずかに歩いてつかァさい」を朗読した。

 その詩は、このヒロシマは大勢の人が亡くなった地だから、心して静かに歩いてくださいと訴えた内容だから、聞いて下さった人々の胸を打ったらしく、どこを歩く時も「静かに・・・静かに」と、囁きあって、静かに歩いて下さった。

 ケイコ・ホームズさんは、元イギリス兵捕虜たちの癒しに奔走している功績によって、エリザベス女王から勲章を授与されておられる。報道関係者が「ケイコという名が多いですね。ケイコが揃った写真を撮りますから、並んでください」と促された。私はケイコさんと、そこに居合わせた別のケイコさんと3人並んでカメラの前に立った。ケイコさんが私の耳元で「元イギリス兵捕虜たちは、第二次世界大戦で、自分たちが最も辛い目にあったと信じているのです。イギリスに来て被爆体験を語りなさいよ」と言われた。それを聞いた時、ケイコさんと私の距離が急接近しているのを感じた。

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元イギリス兵たちと
その遺族や家族
(原爆慰霊碑前にて)

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